UPCOMING EXHIBITION
木下令子|Reframing
2025年5月30日(金)— 6月21日(土)

© Reiko Kinoshita
木下 令子 “Reframing”
会期:2025年5月30日(金)— 6月21日(土)
営業時間:13:00–19:00 *定休日:日、月、祝日
会場:LAG(LIVE ART GALLERY)
〒151-0001 東京都渋谷区神宮前2-4-11 Daiwaビル1F
Opening Reception:5.30(金)18:00–20:00
このたびLAGでは、5月30日(金)から6月21日(土)まで、木下 令子の個展”Reframing”を開催いたします。
木下はこれまで、素材に刻まれた皺や折り目に着目し、それらに絵具を吹き付ける手法や、日焼け・感光といった経年変化をも取り込むことで、不可逆な変化や痕跡を可視化する独自の絵画表現を展開してきました。素材の選択そのものが創作の出発点であり、そこに潜む「像」を見出し、その微かな兆しに作家としての行為を重ねていく姿勢が、木下の絵画を特徴づけています。
本展では、ファブリックやパターンクロスを支持体に用いたシリーズ、野鳥観察の体験を基に視点を再構成するシリーズ、「元の場所に戻る」というキーワードをプロセスに取り入れたシリーズなど、木下が近年取り組んでいる多様な表現を、新作を交えて紹介します。
タイトルに掲げられた”Reframing”(既存の枠組みを捉え直すこと)は、絵画における形式的な構造や、日常における物事の認識の枠組みを見直すという、木下の近年の関心を象徴しています。
一連の作品に通底するのは、木下が「潜像」と呼ぶ、対象の内部に潜在するイメージへのまなざしです。それは、布や紙などの物理的な支持体の性質、光や空気といった環境的な要因、そして作家の介入が交錯することで立ち現れ、絵画の静かな再構築へとつながっていきます。
—Artist Statement—
紙や布を選ぶその時点ですでに全体の像は立ち上がっており、私の絵づくりはそこからはじまります。 シワや折り目、ひだ、日焼け、感光といった、まっさらではない状態には、絵筆を取る前からすでにイメージが存在しているのです。
霧状の絵具を吹きかける手法は、窓辺に差し込む太陽光を模したものであり、暗室での写真現像の工程とも結びつきます。 現像前のフィルムや印画紙の上に存在する、肉眼では見えないけれど確かにある像は「潜像」と呼ばれ、光化学反応を終えて見えてくるもので、物質が描く像とも表現されます。
机に広げた布や紙の上にも、そして身体の中にも潜像は存在している。私の場合、光ではなく絵具を使って像の現れを待つこと、それが制作にとってもっとも重要な時間です。
木下 令子
PROFILE|
プロフィール

木下 令子 Reiko Kinoshita
1982年熊本県生まれ。2009年武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻油絵コース修了。「うつろう時間の経過そのものを絵にすることはできるだろうか」という問いを起点に絵画制作を行う。主な個展に、「Unnamed hours」(SUCHSIZE /大阪、2025)、「粒と房」(GALLERY crossing /岐阜、2023)、「comma」(SHINBI GALLERY/東京、2023)、「空の気配」(照恩寺/東京、2022)、「日のふるまい」HAGISO / 東京、2017)、「日のなかの点」(清須市はるひ美術館、愛知、2015)、その他グループ展に「Big Sleep」(Masumi Sasaki Gallery / 東京、2025)、「slide/shift」(千總ギャラリー/京都、2024)、「言葉でもなく、イメージでもなく、」(krautraum/東京、2021)、など。