UPCOMING EXHIBITION
吉國元|深い河
2025年11月21日(金)- 12月13日(土)

© Moto Yoshikuni
吉國 元 「深い河」
会期:2025年11月21日(金)- 12月13日(土)
*定休日: 日、月、祝日
営業時間:13:00 – 19:00
会場:LAG(LIVE ART GALLERY)/ 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-4-11 Daiwa神宮前ビル1F
企画協力:清水チナツ
Talk Event:2025.11.22(土)16:30-18:00
Opening Reception:11.22(土)18:00–19:00
このたびLAGでは、2025年11月21日(金)から12月13日(土)まで、吉國元による個展 「深い河(DEEP RIVER)」 を開催いたします。
1986年にジンバブエ・ハラレに生まれ、1996年に日本へ移住した吉國は、これまで自身の経験を描き、他者の語りに耳を傾けながら、絵画や出版を通して活動を続けてきました。2020年には在日アフリカ人への聞き書きをまとめた『MOTOマガジン』を創刊し、2025年にはその第3号である『根拠地』(印刷:Live Art Books)を刊行しています。また、2026年3月には、岐阜県美術館で開催される「モンスーンに吹かれたようにー大移動と交流のアフリカーアジアの現代美術ー」にも参加を予定しています。
本展では、2023年の連作「来者たち/Arrival」以降の取り組みを基点に新作を発表します。国家や国境といった大きな枠組みがもたらす制約を意識しながらも、普遍的な思考や感情を絵画として提示します。吉國の作品には人物を描いたものが多く含まれますが、描かれたその人やその人と作者との関係を出発点としつつ、歴史や社会、あるいはその場所に刻まれた記憶とも響き合いながら、多層的な状況を浮かび上がらせ、鑑賞者にさまざまな想起をもたらします。
会期中の 11月22日(土) には、文筆家・翻訳家の榎本空氏を迎え、トークイベント「『深い河』を遡行する」(定員40名・事前申込制)を開催します。ぜひこの機会にご来場ください。
—Artist Statement—
深い河、神よ、わたしは河を渡って、集いの地に行きたい
ー黒人霊歌
色鉛筆の連作「来者たち/Arrival」の制作と展示が一段落した2023年頃から、これからは自分の足元を見つめなおしたいと思うようになった。その時期は、日本に移住をしたジンバブエ人の聞き書きを始めていて、それは後に『MOTO magazine Vol.003 根拠地』(2025年6月刊)にまとめることが出来た。あとがきに次のことを書いた。
「落下して散らばったいくつもの硬貨のような人々の移動の軌跡を思う。なにが僕たちの生を規定するのだろうか。国家・貨幣・パスポートの支配から僕たちは逃れられないのか。従うしかないのか。しかし、それでも僕たちは、それぞれの持ち場で自分らしく生きるための工夫を怠らない。遠くを想い、大切な人がその人らしく生きていてくれることを願う。」
生まれた土地に根付いた生活をする(あるいはそうせざるを得ない)人々がいて、一方で、故郷を離れ、移住を余儀なくされた人々がいる。雑誌は「根拠地」という副題をつけたが、2025年に描いた絵を集めた本展のタイトルを「深い河」にしたのは、歴史の底流にある意識や感情に触れることによって、他者たちとつながることを願ったからである。
「深い河」は、太古の河のように流れる静かな時間のことであり、遠くの場所や人との合流を期待することでもある。私は河を渡りたい。
吉國 元
⚪参考資料
作者不詳「Deep River」(黒人霊歌)、ラングストン・ヒューズ「黒人はおおくの河をうたう」(ラングストンヒューズ編『ことごとくの聲あげて歌え』木島始訳、未来社、1952年)、遠藤周作『深い河』(講談社、1993年)など
PROFILE|
プロフィール

吉國 元 Moto Yoshikui
美術家。1986年ジンバブエ ・ハラレ生まれ。1996年日本に移住。2015年に多摩美術大学造形表現学部造形学科油画科卒業。2020年、在日アフリカ人を取材する『MOTOマガジン』を創刊。VOCA展2021選出。2025年6月に『MOTOマガジン vol.003 根拠地』 刊行。
主な個展
2023 “根拠地ー粟津邸であつまる” 粟津潔邸、神奈川
2020 “来者たち” Cafe & Space NANAWATA、埼玉
2018 “アフリカ都市経験:1981年植民地以降のジンバブウェ・ハラレの物語” OGUMAG、東京
BOOKS|
書籍情報
吉國 元『MOTOマガジン vol.003 根拠地』

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発売日:2025年6月1日
本体価格:2,000円(税込)
インタビュー:クダ・チェケラ(ジンバブエ)”Every day I wake up in the morning and just thank life” ローレン・マガソ(ジンバブエ)”Much calmer, much kinder, much humble”
執筆・企画・翻訳・絵・編集・写真・発行:吉國 元
校正・編集協力:清水チナツ
デザイン:小猿啓太
エディション:150部
印刷:株式会社ライブアートブックス
※会場にて販売いたします
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TALK EVENT|
トークイベント
登壇者:榎本空 (文筆家、翻訳家) 、吉國元
日時:11月22日(土) 16:30-18:00
会場:LAG(LIVE ART GALLERY)ACCESS
入場料:1,000円(税込)
定員40名 ※定員制(事前受付制)
*トークイベントのお申し込みはこちらから
[ゲストプロフィール]

榎本空 Sora Enomoto
文筆家、翻訳家。沖縄県伊江島における戦争、土地闘争の記憶と現在について研究している。著書に『それで君の声はどこにあるんだ?』(岩波書店)、『音盤の来歴』(晶文社)。翻訳書にジェイムズ・H・コーン『誰にも言わないと言ったけれど-ー黒人神学と私』(新教出版社)、サイディヤ・ハートマン『母を失うこと-ー大西洋奴隷航路をたどる旅』(晶文社)、『奔放な生、うつくしい実験-ーまつろわぬ黒い女たち、クィアでラディカルなものたちの親密な歴史』(勁草書房)。『母を失うこと』で第十回日本翻訳大賞受賞。
