UPCOMING EXHIBITION

倉敷安耶|祖母は屋敷にひとりで住んでいた。

2025年10月3日(金) – 10月18日(土)

© Aya Kurashiki

倉敷 安耶|祖母は屋敷にひとりで住んでいた。
会期:2025年10月3日(金)— 10月18日(土)
*定休日:日、月、祝日
営業時間:13:00–19:00 
会場:LAG(LIVE ART GALLERY)
〒151-0001 東京都渋谷区神宮前2-4-11 Daiwaビル1F
Opening Reception:10.3(金)18:00–20:00
Talk Event:10.11(土)16:00-17:30

 このたびLAGでは2025年10月3日(金)から10月18日(土)まで、倉敷安耶の個展 「祖母は屋敷にひとりで住んでいた。」 を開催いたします。

 
 倉敷安耶は、他者との距離や疎外感、生と死や無常、身体性といった根源的テーマを起点に、宗教的・儀式的要素を交えた表現を展開する作家である。写真や西洋絵画のイメージを転写する技法を基盤に、布地・石・鏡など多様な素材を支持体として用い、偶発的に生じる痕跡や重層的な構成を通じて、存在と身体をめぐる視覚的探求を続けている。

 本展に並ぶ作品は、倉敷の祖母が暮らしていた洋館に刻まれた記憶や痕跡を手がかりに、時間と存在の残響を可視化しようとする試みである。

 祖母の衣服を纏う孫の姿は、今は亡き祖母の影ともなり、異なる時間をひとつの場に重ね合わせる。鏡に転写された家の内部は、古来より霊を映すと信じられてきた鏡の性質を呼び覚まし、幻影を誘うと同時に、鑑賞者自身を「かつてそこにいた誰か」として映し出す。また、今も洋館の一室を事務所として用い働く父の姿は、この館を現在へと繋ぎとめる唯一の営みとして示される。そこには、物質としての老いと記憶としての生とが重なり合い、家はやがて朽ちゆく一方で、祖母がなおその家を脈々と守り続けているかのような気配が漂う。見えない時間が折り重なり、過去と現在がふたたび交錯する場として――。

本展キュレーター:井波 吉太郎(アーツ前橋 学芸員)

 
 

PROFILE|

プロフィール

 


 

倉敷 安耶 Aya Kurashiki

 1993年 兵庫県生まれ。茨城県在住。現在は東京と関西を拠点に活動。2018年京都造形芸術大学大学院修了 。2020年東京藝術大学大学院修了。 佐藤国際文化育英財団第26期生。クマ財団3期生。2021年度VIVA AWARD アソシエイツアーティスト

 一貫して、肉体という個別の物質、あるいは付属するカテゴライズによって絶対に断絶された孤独な存在のひとつであるという自覚を持ち、他者との距離について制作を行ってきた。自己と他者との関係には様々な軋轢が生じ、孤独な課題を抱えている。 作品はそれ自身が私にとっての信仰であり、断絶されたこの身で他者と関係性を紡ぐ架け橋で、あるいはときに軋轢によって生じた傷を手当てし生き抜くためのケアである。宗教・ジェンダー・死・身体等の巨視的な領域から、職業・家族等に至る身近な領域まで、そこに伴う共同体と、ケアをモチーフにし、転写技法を用いた平面作品を主軸にした他、共食をテーマとした儀式的なインスタレーションやパフォーマンスなどを用いる。

 仏教画の九相図、そのモデルに引用された小野小町、さらには説話と化しイメージが一人歩きしたことによって個人の人格を無視し、押し付けられた罪を背負った点が小町と共通するマグダラのマリアをモチーフとした《九相図》や《互いのための香油塗り》、名画等の女性の身体にアダルト画像をコラージュした《Transition》、箱形の支持体を持つ作品を墓や骨壷に例えた《Grave》《Bury》、祭壇のような食卓のインスタレーション《わたしたちは家族》《口腔間距離》、儀式的な飲食を伴うパフォーマンスやWS《晩餐会》《秩序を保つ》など。

 主な受賞歴にグランプリ受賞2021「WATOWA ART AWARD 2021」、秋元雄史賞「KAIKA TOKYO AWARD」、入選「群馬青年ビエンナーレ」など。

 主な個展に「あなたの髪のひとつ(だった)」(haku/京都/2023)、「百夜」(SOM GALLERY/東京/2023)、「おまえの骨が軋むとき」(ARTDYNE/東京/2025)など。

 主なグループ展に「ニューミューテーション#5 倉敷安耶・西村涼「もののうつり」」(京都芸術センター/京都/2023)、「Dancing in the Boundary -境界の中で踊る-」(NEWoMan横浜/神奈川/2024-2025)、 「Intersection」HWA’S GALLERY (上海)など。

 主なアートフェアに「Art Fair Philippines」(The Link, Ayala Center/フィリピン/2024)、「ART FAIR ASIA FUKUOKA」福岡国際センター/福岡/2024)、「HANKYU ART FAIR」(阪急梅田ホール/大阪/2024)など。

 国内外に活動している。

TALK EVENT|

トークイベント

 

登壇者:倉敷安耶、井波吉太郎(アーツ前橋 学芸員)
日時:10月11日(土) 16:00 – 17:30
会場:LAG(LIVE ART GALLERY) ACCESS
料金:¥500.- 事前予約制:お申し込みはこちら
定員:35名

 

[ゲストプロフィール]
 

 

井波 吉太郎 Yoshitaro Inami

 アーツ前橋 学芸員。日本大学藝術学部写真学科卒業後、フォトグラファーとして商業写真に従事。東京大学大学院学際情報学府博士前期課程修了。世田谷文学館、東京都現代美術館 学芸員を経て現職。 専門はアーカイブズ学およびメディア文化史。写真・映像・紙資料といったエフェメラのアーカイブ作業の実践と研究、作家へのインストール指導など、「批評」とはまた異なった領域から美術界へのアプローチを行っている。企画した主な展覧会に「山へ!to the mountains展」(2017年,世田谷文学館)、「吉阪隆正展 ひげから地球へ、パノラみる」(2022年,東京都現代美術館)、「ゴースト 見えないものが見えるとき」(2025年,アーツ前橋)など。