
© WATANABE Koichi, Courtesy of The Third Gallery Aya
会期:2026年8月1日(土)- 8月15日(土)
*定休日: 日、月、祝日
営業時間:13:00 – 19:00
会場:LAG(LIVE ART GALLERY)/〒150-0001 東京都渋谷区神宮前 2-4-11 Daiwa神宮前ビル 1F
Talk Event:8.1(土)17:30-19:00
Opening Reception:8.1(土)19:00–20:00
協力:The Third Gallery Aya
LAG では、2026 年 8 月 1 日(土)から 8 月 15 日(土)まで、渡邊耕一による展覧会「毒消草の夢 デトックスプランツ・ヒストリー」を開催いたします。
渡邊耕一は、一貫して植物と人との関係を主題に制作を続けてきました。植物は、人の移動や交易、植民地支配、医学、学術などの営みとともに世界を渡り、その存在は自然だけでなく、人間が世界を理解する枠組みにも深く関わってきました。渡邊は、そうした植物をめぐる歴史の痕跡を、写真とリサーチを往還しながら丁寧に辿っています。
2015 年に発表した『Moving Plants』では、日本では身近な雑草として知られるイタドリを題材に、植物の移動が近代史と密接に結びついていることを明らかにしました。本展で発表する《毒消草の夢 デトックスプランツ・ヒストリー》では、江戸時代の蘭方医学書に記された「コンタラエルハ」という謎の薬草を起点に、その名を巡る数百年におよぶ歴史を辿ります。
文献や標本、植物誌、各地での調査を重ねながら展開されるこのプロジェクトは、一つの植物の正体を解き明かす物語ではありません。名前が与えられ、翻訳され、分類され、語り継がれるなかで、植物は人間の知識や欲望を映し出す存在となっていきます。その一方で、植物は人間による理解や分類には回収されない存在として、写真のなかに現れます。
本展では、《毒消草の夢 デトックスプランツ・ヒストリー》シリーズの作品を通して、人と植物との関係について、新たな視点を提示します。写真のなかに広がる風景は、歴史や制度を可視化するだけでなく、私たちが世界をどのように名づけ、理解してきたのかという根源的な問いへと鑑賞者を誘います。
会期初日の 8 月 1 日(土)には、人類学者・奥野克巳氏を迎え、渡邊耕一とのトークイベントを開催いたします。本展で提示される植物をめぐる視点について、写真と人類学という異なる実践から語り合う機会となります。
—Artist Statement—
江戸末期の蘭方医学書にその記載を残す謎の薬草・昆答刺越兒發(コンタラエルハ)。その名前は、スペイン語の「コントライェルバ」に由来する。コントラは「(毒を)無効にする」、イェルバは「草」。つまり「コンタラエルハ」は「毒消草」だったのだ。江戸時代の蘭学書の、あるいは大航海時代の植物誌や医学書の中でコンタラエルハの痕跡を辿ると、同じ名前を持つ幾つもの植物が現れては消えていく。私が迷い込んだのは、15 世紀から現代に至る 500 年におよぶ時間とヨーロッパ-アメリカ-アジアを結ぶ広大な空間にひろがる迷宮だった。
今は使われないこの薬草の痕跡を追う旅の中で、何百年にも渡って作られてきた毒消草を探し求める人々のネットワークの存在、香辛料や薬として世界中で取引される商品としての植物の資源化が浮き彫りになる。その過程で、人間の次元を超えて生きる生命体としての植物の姿は見失われてしまう。
旅の終わりに辿り着いた、コントライェルバが自生する森の、折り重なる形態の中で、コントライェルバの範疇を巡る絡れは文字通り解毒され、地質学的な時間が畳み込まれた、名状しがたい出来事として目の前に投げ出される。そこには感覚を研ぎ澄まさなければ聴きとることができない、言葉が無効になったのちに残る響、声ならぬ声が満ちている。
渡邊耕一
PROFILE|
プロフィール

渡邊 耕一 / WATANABE Koichi
1967 年大阪府生まれ。1990 年大阪市立大学文学部卒、2000 年インター・メディウム・インスティチュート写真コース修了。
植物と人との関係を見つめ、資本主義と物流システムがいかに植物を移動させ、生態系を変化させてきたかを問い続ける。2015 年、 19世紀にシーボルトによって欧米に持ち込まれ、現在侵略的外来種として恐れられる植物・イタドリを 10 年以上をかけて世界各地で撮影した写真集『Moving Plants』(青幻舎)を出版。The Third Gallery Aya(2015)、Kanzan Gallery(2016)、Gallery 722(2017 )、資生堂ギャラリー(2018)にて同作品の個展。ルーネベークスホルム・デンマーク(2017)、カーネギー自然史博物館・アメリカ合衆国(2025)にてグループ展。2022 年、江戸時代の医学書に現れる謎の薬草「コンタラエルハ」のルーツを追い、遂にメキシコに辿り着く過程を著した写真集『毒消草の夢 デトックスプランツ・ヒストリー』(青幻舎)を発表、その展示を The Third Gallery Aya(2022)、Kanzan Gallery(2022-23)、gallery0369(2024)で開催。2023 年、同写真集にてフォトシティさがみはら写真賞を受賞。
関連トークイベント
Artist Talk
日時:8月1日(土)17:30 – 19:00 (受付17:00-)
登壇者:奥野克巳(人類学者、立教大学教授) 、渡邊耕一
会場:LAG(LIVE ART GALLERY)
入場料:500円(税込)
定員:30名 ※事前受付制
イベントの予約は こちら から
GUEST PROFILE|
ゲストプロフィール

奥野 克巳 / OKUNO Katsumi
立教大学教授。人類学者。20 歳のときにメキシコ先住民を訪れ、その後、バングラデシュで仏僧となる。26 歳のときには1年間インドネシアを放浪。1994 年から 2 年間、ボルネオ島でシャーマニズムと呪術の調査を行い、2006 年からは狩猟採集民プナンのフィールドワークを継続。主な著作に『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』『はじめての人類学』『ひっくり返す人類学』など。共著に『今日のアニミズム』『宮台式人類学』などがある。
Books|
書籍情報
『毒消草の夢 デトックスプランツ・ヒストリー』
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著者:渡邊耕一
言語:日英併記 判型:A4 変 総頁:160 頁 製本:上製
Price:6,600 JPY(tax included)
※会場にて販売いたします
