CURRENT EXHIBITION

半田颯哉 “public void re-anthropocentrism()”

2024年1月26日(金)—2月24日(土)

 

 

営業時間:13:00–19:00 *定休日:日、月、祝日
会場:LAG(LIVE ART GALLERY)/ 〒151-0001 東京都渋谷区神宮前2-4-11 Daiwaビル1F
オープニング・レセプション: 2023年1月26日(金) 18:00–20:00

LAG(LIVE ART GALLERY)は2024年1月26日(金)から2月24日(土)まで、半田颯哉の個展 “public void re-anthropocentrism()” を開催いたします。半田は1994年生まれ、広島で育ち現在は東京を拠点に活動するアーティストであり、インディペンデントキュレーターとして展示企画も行っています。本展で半田は、AIのような高度に発展した技術と人間の関係性――どのように人間は科学技術に向き合うべきか――に取り組んだ新作を発表します。
 
半田は2019年に東京芸術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程を修了したのち、アーティスト、インディペンデントキュレーターとしてキャリアを重ねています。2023年には、アーティストとしてアーツカウンシル東京の助成を受けて個展を開催し、キュレーターとしては広島で原爆をテーマにしたグループ展”Take it Home, for (__) Shall Not Repeat the Error.”をキュレーションしました。同年8月に東京へと巡回したこのプロジェクトは、2025年にニューヨークのノンプロフィットギャラリー、apexartでの展示も決まっています。また、芸術実践だけでなく、日本の1980年代のビデオアートに焦点を当てた研究を行い、2023年に東京大学大学院学際情報学府修士課程を修了しています。
 
本展で発表する新シリーズでは、半田は写真を用いて主体性の重要性を問いかけます。写真を作品に取り入れるとき、多くの候補の中から作品に最も適合する写真を選ぶプロセスが生じますが、半田はこうした多から一を選ぶプロセスは、AIによってコンテンツを生成することにも共通するといいます。そして、何がそれを生成したのかではなく、誰が選んだかが重要であり、それこそが制作者であるということなのだと強調します。
 
こうした主体性の重要性を本展で半田は重ねて強調します。別の新作では、千円札のイメージを再生産しその作品の価値を問います。紙幣の価値は人々の信用によって成り立っており、価値があると信じる人々の中でのみ価値が通用するし、信用を失えば単なる印刷の施された紙となってしまう。そうした貨幣の原則を踏まえた上で、半田は自身の再生産した千円札のイメージを「価値があると信じることはできるか」と突き付けてきます。そこに価値が生じるかどうか、その判断基準を自身に持ち、判断自体を引き受けることが求められるのです。
 
この展覧会で示されているのは、「ポスト人間中心主義」への疑いです。半田はいま興っている人間中心主義への反発を、環境破壊を起こしてきた人類の反省の文脈から来た「ポスト人新世」と、AIの急速な発達から生じる「ポストヒューマニズム」、大きく2つの視点から生じていると捉えています。そして、半田自身は環境保護活動の使命に共感しており、技術の進歩に肯定的であるにもかかわらず、こうした「ポスト」の視点に潜む無責任性を見据えています。
 
ここで問題となるのが、まさに「主体性はどこにあるのか」ということです。気候変動を引き起こしたのも、技術を発展させ続けてきたのも自分たち人類なのだから、自分たちこそがその歴史に負う責任に向き合わなければならないのではないか。このように歴史への責任を考える半田は、そして同時に、未来への責任についても次のように述べています。
「気候変動を阻止しようとするのは誰か? 新しい技術を利用するのは誰か? 私たちはそうした主体性を意識し続けるべきなのです。意思のある限り、私たちは純粋な『客体(オブジェクト)』になることはできないのだから。」
 
ポスト人新世やポストヒューマニズム的な言説に対して批判的でありつつも、半田が主張したいのはそこで旧来の人間中心主義に戻れということではありません。半田にとって旧来の人間中心主義は自己中心的であり、やはり批判すべき対象です。だからこそ半田は、「re-anthropocentrism(人間中心主義を、改めて)」を掲げます。本展で半田が示したいのは、思考の中心を私たち人間に向け直し、私たちが私たち自身のことをもっと信じようということなのです。

LAG EVENT|

イベント開催のお知らせ

 

半田颯哉個展“public void reanthropocentrism()”の特別企画として、文化研究者/美術批評家として活躍し、『ポスト人新生の芸術』や『現代美術史 欧米、日本、トランスナショナル』等の著書で知られる山本浩貴氏をお招きし、トークイベントを開催いたします。
 

2024/2/17(土)15:00-16:30(受付14:30より)

半田颯哉 × 山本浩貴

 
入場料:展示作品「E千円券(赤瀬川マシンより)」(1,000円)をご購入の方がご参加いただけます。
※当日購入可能。既にお持ちの方は受付でその旨お伝えください、ご持参は不要です。

事前予約制|お申し込みはこちら

PROFILE|

プロフィール

 

半田 颯哉(Souya Handa), アーティスト・インディペンデントキュレーター
1994年、静岡県生まれ、広島県出身。科学技術と社会的倫理の間に生じる摩擦や、アジア人/日本人としてのアイデンティティ、ジェンダーの問題を巡るプロジェクトなどを展開している。また、1980年代日本のビデオアートを研究対象とする研究者としての顔も持つ。東京芸術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程および東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。
Instagram: @souya_h

 
主な展覧会
2024 (Don’t) Keep It (アートかビーフンか白厨/東京・六本木)(※キュレーション担当)
2023 Take it Home, for (__) Shall Not Repeat the Error. (そごう広島/広島、シノチカ/東京・上野)(※キュレーター兼任)
2022 Noodle Party (ANB Tokyo/東京・六本木)(※キュレーター兼任)
2021 LAYLA YAMAMOTO: AFTER THE QUAKE (福島ビル/東京・日本橋)(※キュレーション担当)
2020 New New New Normal (GALLERY MoMo Projects/東京・六本木)(※キュレーター兼任)
2019 ポスト技術立国 (GALLERY KOGURE/東京・神保町)(※キュレーター兼任)
2019 トーキョー・ストリート・ビュー (Red and Blue Gallery/東京・新富町)(※キュレーター兼任)
2018 CODES OF CONDUCT: CODING BODIES, DECODING DIGITALITY (CLEAR GALLERY TOKYO/東京・六本木)